カート潜り込み牽引ソリューションについて
自律走行搬送ロボット(AMR)は、製造をはじめさまざまな現場で導入され、搬送作業を自動化しています。効果的な活用のためには、AMRと用途に合ったトップモジュールの組み合わせが重要です。ここでは、ピンやバーなどでカートを牽引できるトップモジュールを搭載したAMRがカートの下に潜りこむ仕組みの「カート潜り込み牽引ソリューション」について、仕組みや課題、導入事例などを紹介します。
カート潜り込み牽引ソリューションとは?
カート潜り込み牽引ソリューションは、自動搬送システムの一種で、主に倉庫や工場などの物流現場で使用される効率的な搬送方法です。低床型の無人搬送車が専用のカートの下に潜り込み、リフトアップしてカートごと搬送します。対応できるカートのサイズの幅が広く、搬送物に合わせてカスタマイズできます。異なるタイプやサイズの品物を載せた複数のカートを搬送でき、柔軟な運用が可能です。
エンドユーザーに検討される理由
まず、事前準備が容易であることが挙げられます。AMRの導入前からカートを用意できるので、スペースの確保や現場レイアウト変更を事前に準備できます。また、高い汎用性とカスタマイズ性を有していて、カートの上部分を用途に合わせて自由に設計でき、からくり、パレット、棚など、さまざまなニーズに対応します。さらに、カートを多めに用意し、指定の場所に配置しておけば、AMRが必要に応じてカートをピックアップする運用ができます。必要最低限のAMR台数で効率的な運用ができ、
導入の課題と解決
導入にあたり、通路が足りないという問題を解決する必要があります。カートを牽引しているときは、カート分も考慮に入れた通路幅を確保してください。
道幅だけではなく、カートの置き場もスペースが必要です。人であればカートとカートを詰めて置くことができても、AMRが運ぶ場合はカートとカートの間に安全を確保できるだけの間が必要となります。別の見方をすれば、置けるカートの数が少なくなるということです。カートを置いておく場所のスペースを広げることが解決方法になりますが、その前に、「何をどれだけどのように」AMRに搬送させるかを算出して置きましょう。カートの数を減らしても問題ないように運用するという方法もあります。
導入事例
ハーネス加工と制御盤製作工場で、部品・完成品の搬送のために「カート潜り込み牽引型トップモジュール」を搭載したAMRが導入されました。無線通信の技術を応用していて、自力でエレベーターを呼び出し、3フロアを自由に昇降できるシステムを構築できます。上にパレットを載せるカートにして、そのままフォークリフトが受け取る仕組みです。完成品はそのままトラックに積み込むことができ、部品は倉庫からフォークリフトでパレットを出してそのままカートに乗せることができます。積み替えの手間を削減し、フォークリフトが動き回るスペースも減らせました。
また、カートの上部をからくりにして、工程間搬送を自動化した事例もあります。傾斜のある棚に部品を入れた箱を載せ、組立ラインの箱ラックとカートの上部からくりがドッキングした時に、カートに載せた部品入りの箱が重力で箱ラックに移動する仕組みです。
まとめ
低床型の無人搬送車が専用のカートの下に潜り込み、リフトアップしてカートごと搬送するのが、カート潜り込み牽引ソリューションです。カートのサイズを搬送物に合わせてカスタマイズしたり、からくりを仕込んだりと、柔軟な運用ができます。導入には、通路の幅やカート置き場の広さが課題になることがあるので、事前に運用を計画し、必要なスペースを確保するようにしましょう。上手く導入できれば、人手を大幅に削減できます。
Sponsored by
岡谷システム株式会社
製造業の課題解決に尽力する岡谷鋼機株式会社のグループ会社として、「工場内搬送自動化」の提案からシステム構築までを請け負う岡谷システム株式会社。
グループ会社の知見を活かし、搬送自動化に関わる機器の販売から工場導線に合わせたシステム開発までを一貫して提案しています。工場の導線に合わせた機器の選定・システム構築を通して、企業の業務効率化・省人化に貢献しています。