搬送業務のロボット化で人手不足が解消した事例
近年製造業では、マテハン機器やロボットを導入し、搬送・保管業務の自動化に務める企業が増えています。
本ページでは、工場内搬送自動化の総合提案を行っている岡谷システム株式会社監修のもと、 搬送・保管における業務を自動化できるマテハン機器を導入し、人手不足を解消した事例を紹介。導入機器や導入後効果などもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
- 岡谷システム株式会社
常務取締役 河原氏
大手グループ企業との連携で
工場内搬送自動化を総合提案
岡谷システムは、搬送自動化に関わるマテハン機器のシステム開発を行っています。350年以上の歴史を誇る岡谷鋼機株式会社のグループ総合力により、エンジニアリング業務から、システム開発・設備導入までを一貫して請け負うことが可能。
AGVや自動倉庫など、自動化に関わるマテハン機器メーカーのパートナーSIerとしても活動しており、搬送業務の自動化・省人化を叶える提案を得意としています。
導入企業:株式会社テルミック
テルミックは、治具・工具等の製作、部品の切削加工を請け負う企業。単品・小ロットの依頼を受けており、最短1日・通常約2週間という短納期での出荷を強みとしています。
また、誰もが働きやすく、効率的な業務推進を目指し「りんくう常滑スマート工場」を設立。マテハン機器を用いた業務の自動化等を積極的に取り入れており、年間1,300社から工場見学を申し込まれています。
テルミックの基本情報
社名 | 株式会社テルミック |
---|---|
業種 | 部品加工 |
従業員数 | 130名(2021年) |
公式HP | https://www.tel-mic.co.jp/ |
テルミックの導入機器
自動倉庫(ロータリーラック)
ロータリーラックは、入出庫・保管・仕分け作業を1台で自動化できる自動倉庫システムです。導線に合わせて取り付けた複数個所の垂直搬送機でケースを入庫。各段が独立して水平旋回する独自の機構なため、他社の自動倉庫と比較して高速で入出庫できることが大きな特徴です。
また仕分け・配膳など、荷姿にとらわれず、フレキシブルな用途で活用できます。
CTU(コンテナ搬送ロボット)
岡谷システムが扱う製品メーカーであるHIKROBOTは、中国の浙江省・杭州を本拠点としている企業であり、世界30カ国に対してグローバル展開。1,500人以上の研究開発スタッフを擁して「搬送ロボット」「AI・マシンビジョン」で高い技術力を有しています。
HIKROBOTのCTUは、可搬量5~7つのうち、搬送ケース数や棚の高さなど、使用用途に合わせて7種類のタイプから選択が可能。スピーディにケースをピックアップできることが特徴です。
テルミックの課題と効果
最短1日での出荷を完全手作業で実施
これまで手動のコンベアを使用し、毎日800個以上の荷物の入出庫業務を実施。短納期を実現するために工場をフル稼働させるものの、人員不足に悩まされていました。
そんな中事業拡大に向け、新工場設立を計画。既存工場で起きていた人員不足を解決するため、入出庫を自動化できるような仕組みを構築しました。
10名分の人員削減・残業時間低減に成功
手動コンベアを使用していたところ、自動コンベア付き自動倉庫(ロータリーラック)を導入。
毎日何百もの部品を35名で入出庫していた体制から、1年後には25名での対応が可能に。人員コスト削減のほか、残業や休日出勤も削減され、働きやすい環境の構築にもつながりました。
株式会社テルミックへのインタビュー
株式会社テルミック取締役常務執行役員
長谷川 良様
取材にご協力頂いたのは、株式会社テルミック取締役常務執行役員 長谷川様。
自動化を検討するに至った経緯から、実際の提案内容、
導入後効果について詳しく伺いました。
工場内搬送自動化の検討きっかけ
最短1日での出庫を全て「人の手」で作業していた
ーーー搬送業務の自動化を検討した経緯を教えてください。
これまでの搬送業務として、手動コンベアを使用していました。大きな棚にいくつも部材が収納されており、さらに人の手で梱包していたりと、完全に属人化していました。
弊社は短納期での出荷を目指しているので、在庫という概念がありません。毎日800点ほどの製品が入荷されて、800点出荷するような作業です。そんな作業を手動で実施していたので、人員コストも相当なものになっていました。
新工場設立と同時に自動倉庫を導入
そんな中、ありがたいことに売上増加に伴い入出庫の物量も増加傾向にありました。現状の工場規模では対応が難しいこともあり、新工場設立の話が浮上しました。
元々人手不足に悩まされていましたが、これを機にヒューマンエラーが起きないような取り組みを推進しようという話になりまして。
設備を導入して、業務を自動化しようという話になりました。
ーーー旧工場では手動コンベアを使用していたのですね。スピードが求められる中、従業員の方の負担も大きかったのではないでしょうか?
そうですね。旧工場の検品作業は正社員・技能実習生・派遣の方・パートの方合わせて35名で行っていたのですが、残業にも協力してもらいながらやっと業務を回せているという状態でした。
なので、この設備投資のタイミングで人員不足の課題も解決しないと事業拡大にも影響が出るので、必ず解決したいと思っていましたね。
検討~導入まで
より入出庫が速いロータリーラックを導入
ーーーロータリーラックの導入が効率化に大きく寄与したと伺いました。なぜロータリーラックを導入しようと考えたのですか?
旧工場で使用していた手動コンベアは、オカムラ様というマテハン機器メーカーの製品を使用していたので、まずオカムラ様に相談しました。そしてシステム構築ができる会社として紹介していただいたのが岡谷システム様でした。
2社と綿密にやり取りさせていただき、そこで提案されたのが「Autostore」(オートストア)とロータリーラックです。 自動倉庫といえば「Autostore」が有名ですが、より入出庫のスピードが早いロータリーラックに決めました。当日製品が入荷し、翌日には出荷するので、スピード感はとても重視していましたね。オカムラ様や岡谷システム様からは、ロータリーラックは22段全て独立して動かせることや、部材を入出庫する垂直搬送機は自由に取り付けられることから、よりスピード感を持って入出庫できると伺ったので、導入を決めました。
▼ロータリーラックの製品動画はこちら
生産管理システムとの連携で、指示~倉庫管理まで全て完結
ーーー岡谷システム様から、より省人化につながる提案は他に受けられましたか?
はい。システム同士の連携で、より作業の連携がスムーズになるようなご提案いただきました。
これまで手動で入出庫していた作業が全て自動倉庫を通して自動化されるので、入出庫作業を通して生産性などが見える化できるといいなと考えていたのですが、岡谷システム様が全て解決してくださいました!
ーーー具体的にはどんな連携を?
弊社は基幹システムで、入出庫指示から検査まで全て一元管理しています。そのため、出庫指示に対して自動倉庫内の適切な部材を引き出し、検査場に搬送することで基幹システムに反映されるといった、一つひとつの作業が自動でシステムに反映されるよう構築していただきました。
他にも、検査場へ繋がる長いコンベアがあるんですが、そこにも搬送指示を構築するなど、難しいと思っていた作業の連携が自動で行われるようになりました。
ーーー各作業の起点を明確にし、システムを通して連携することで各作業がスムーズに自動化されるのですね!
従業員の方の反応はいかがでしたか?
便利になったと喜んでもらいました!
最初半年ほど基幹システムと連携せず自動倉庫単体で稼働させていたのですが、やはり情報が連携していないと不便な部分がたくさん見つかりました。 その修正点を踏まえて岡谷システム様にシステム構築していただけたので、この半年間があってとても良かったと思います。
工場内搬送自動化の効果実感
10名の人員コスト削減に成功
ーーー機器導入後、人員不足は解消されましたか?
しっかり成果につながりました。検品作業35名から、1年後には25名で対応することが可能になりました。
また人員削減だけでなく、働きやすい環境にもつながりましたね。以前は残業がかさんでしまっていたところ、残業時間もしっかり減らすことができたので、従業員が健康的に働ける環境になったかなと思います。
現在自動倉庫をもう1基導入しようと計画を進めています。おかげ様で1基では対応できない物量になってきたので、ぜひ岡谷システム様にはまた生産性向上にご協力いただきたいと思っています!
今後はCTU(コンテナ搬送ロボット)も検討
ーーー着々と業務自動化を進められているのですね!今後の展望はありますか?
現在「測定室」にCTU(コンテナ搬送ロボット)の導入を検討しています!
測定室は、検品で不良と判断されたものがコンベアで流れてくるのですが、まだこの作業は自動化できていない部分があります。今後は測定室に届く大量の測定品を自動で保管・仕分けすることで、測定の優先順位も自動化・見える化し、より効率化していければと考えています。
弊社の工場には既存のお客様だけでなく、毎年1,000社以上の企業様が見学に来られます。来社される方々に向け、まだまだテルミックは進化し続けていく!ということをアピールする目玉になればと思います!
▼CTUの動画はこちら
- 岡谷システム株式会社
常務取締役 河原氏
岡谷システム株式会社
常務取締役 河原氏
テルミック様は、大量の物量を常に入出庫しているので、とにかくスピード感があるロータリーラックを提案しました。入出庫の出入口となる垂直搬送車も自由にカスタマイズできるので、すぐに荷物が取り出せる仕様になっています。
また、今後も物量が増えるとのことだったので、各システムの連携を綿密に行うことで作業効率化を意識しました。自動倉庫から出庫された荷物がどこに運ばれると自動コンベアが作動し、その情報がどのように基幹システムに反映されるのかなど、一つひとつ起点を作り、各設備とシステムの連携を図ることにより、属人化していた作業が全て自動化できます。
今導入を検討されているCTU(コンテナ搬送ロボット)は、自動倉庫と違い、倉庫のレイアウト変更にも対応できるため、用途に合わせて使い分けられるよう提案しています。
工場内の搬送業務自動化に興味を持った方は、ぜひ一度ご相談ください。
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岡谷システム株式会社
製造業の課題解決に尽力する岡谷鋼機株式会社のグループ会社として、「工場内搬送自動化」の提案からシステム構築までを請け負う岡谷システム株式会社。
グループ会社の知見を活かし、搬送自動化に関わる機器の販売から工場導線に合わせたシステム開発までを一貫して提案しています。工場の導線に合わせた機器の選定・システム構築を通して、企業の業務効率化・省人化に貢献しています。