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ロボットアーム付きAGV/AMR導入検討のポイント

ここでは、ロボットアーム付きAGV/AMRに関する国際規格について詳しく解説しています。

近年の人材不足を背景に、市場ではピッキング作業や配膳作業の効率化に向けたロボットアーム付きAGV/AMRが注目されています。その有用性は展示会などで華々しく宣伝されていますが、一方、その設計や運用の安全性については、あまり知られていないのが現状です。

以下、ロボットアーム付きAGV/AMRの安全性に関し、国際規格にしたがって知識を整理しましょう。

ロボットアーム付きAGV/AMRの安全規格とは?

ロボットアームに関する安全規格は存在します。また、AGV/AMRに関する安全規格も存在します。しかしながら、双方がハイブリッドした「ロボットアーム付きAGV/AMR」に関する安全規格は、2024年7月現在において存在しません。

そのため、ロボットアーム付きAGV/AMRに関する安全規格を検討する場合には、ロボットアームを含む協働ロボットに関する安全規格、およびAGV/AMRに関する安全規格をそれぞれ理解し、両規格を組み合わせる形でロボットアーム付きAGV/AMRを設計・運用する必要が生じます。

異なる両規格を組み合わせた設計・運用は非常に複雑になるため、以下では内容を分かりやすくするため、ロボットアームを含む協働ロボットに関する安全規格を軸に全体像を見ていきましょう。

協働ロボットの安全に関する国際規格について

産業用ロボットの安全性に関する国際規格はISO10218-1、産業用ロボットシステムの安全性に関する国際規格はISO10218-2で規定されています。加え、協働ロボットの安全性に関する国際規格はISO/TS15066で規定されています。また、AGV/AMRに関する安全規格は、ISO3691-4でカバーされています。

なお、ISO10218-2では、協働ロボットの定義について「規定された協働作業空間で、人間と直接的な相互作用をするように設計されたロボット」としています。ここにいう「協働作業空間」の定義は「ロボット作業セルの安全防護空間内の,生産作業中にロボットと人間とが同時に作業を遂行できる作業空間」となります。

協働ロボットを協働作業空間で使用するためには?

協働ロボットを協働空間で使用するためには、大前提として、対象ロボットが協働運転中であることを視認できる表示を備える必要があります。加えて、以下4点のうち1点以上を満たすことも必要です。

なお作業者の安全に関連し、上記4点で最も活用されている条件は「本質的設計または制御による動力および力の制限」です。

協働ロボットを搭載したAGV/AMRの運用における安全確保

ロボットアームなどの協働ロボットを搭載したAGV/AMRについて、安全性の国際規格に準拠する形で運用する主な例として、以下3点を見てみましょう。

多くの現場では、これら3例の範囲内で安全な運用がカバーされると想定されます。

AGV/AMRの移動中にも協働ロボットを動作させる場合

AGV/AMRの移動中にもロボットアーム等の協働ロボットを動作させる場合、協働作業空間はAGV/AMRの移動とともに変化します。そのため、AGV/AMRの移動範囲全体が協働作業空間となります。

そのため、安全性の国際規格としては、AGV/AMRの移動範囲全体にISO10218-1、ISO10218--2、ISO/TS15066が適用される形になります。

AGV/AMRを切り分けて検討する場合

AGV/AMRと協働ロボットの相互インターロックにより、AGV/AMRの移動中は協働ロボットを停止し、AGV/AMRの停止後に協働ロボットを稼働させる仕組みとする場合には、AGV/AMRと協働ロボット、それぞれの安全性の国際規格が適用されます。

具体的には、AGV/AMRの移動中はISO3691-4が適用され、AGV/AMRが停止して協働ロボットが稼働したらISO10218-1、ISO10218--2、ISO/TS15066が適用される形になります。

AGV/AMRの移動中に予備動作を行わせる場合

タクトなどの都合により、協働ロボットの作業空間において、AGV/AMRの停止前に協働ロボットの予備動作を行う場合には、相互インターロックを無効にする必要があります。作業時間の短縮を図る際などに用いられる手法です。

まとめ

ロボットアーム付きAGV/AMRの安全規格の概要、ロボットアーム等を含む協働ロボットの安全性に関する具体的な国際規格、ロボットアーム等を含む協働ロボットを搭載したAGV/AMRの運用における安全確保の3例をご紹介しました。

ご紹介した3例のうち、どの例を採用するかについては現場の考え方次第になります。作業エリアの共有範囲やリスク許容度などに応じ、採用パターンは異なります。

いずれのパターンを採用する場合でも、生産性に偏りすぎて安全性が不十分になることは避けなければなりません。安全性に関する国際規格を十分に理解し、事故のない現場を目指す必要があります。

監修

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岡谷システム株式会社

岡谷システムキャプチャ

引用元:岡谷システム公式HP
(https://www.okaya-system.co.jp/)

製造業の課題解決に尽力する岡谷鋼機株式会社のグループ会社として、「工場内搬送自動化」の提案からシステム構築までを請け負う岡谷システム株式会社。

グループ会社の知見を活かし、搬送自動化に関わる機器の販売から工場導線に合わせたシステム開発までを一貫して提案しています。工場の導線に合わせた機器の選定・システム構築を通して、企業の業務効率化・省人化に貢献しています。

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